藍の化学
インディゴは、青藍を呈する染料である。
○インディゴの化学式 C16H10N2O2
○インディゴの構造式
藍による染色は、生葉から染めつける方法(生葉染め)と「すくも」にしたものを強アルカリの中で微生物によって還元することにより染める方法(藍建染め)がある。
同じような染ではあるが、染色の原理は大きく違う。
ここでは、その2つの染を科学的に説明することとする。
1 生葉染め
タデ科の植物である藍は、植物体内の葉の部分に青色の原料となる化学物質「インジカン」を含有している。「インジカン」は、無色であり、葉の組織内に存在している。空気中の酸素と結合することにより「インジコ」に変化して青色を発色する。
発色の原理は、葉の中に含まれるインジカンを抽出して、インジカンの水溶液を作る。(生葉と水を入れたミキサーで粉砕して液を作る)その溶液に含まれている酵素(植物体内にある酵素)の働きによりインジカンがインドキシルとグルコースに変化する。インドキシルを繊維に吸着させて空気中の酸素と結合させることによりインジゴとなり青色を発色する。
*繊維は、絹、羊毛などのように繊維分子が+−の電気を帯びていることが必要で、インドキシルの持つ+−と強く結び付くために染色されることになります。木綿や麻などは+−の電気が少ないので染まりません。
「インジカン」の化学式 C14H17NO6 「インドキシル」 C8H7NO
加水分解 酸化
インジカン ― ― ― ― ― → インドキシル ― ― ― ― ― → インジコ
インジカン分解酵素 空気中の酸素と結合
2 藍建
青色の成分である「インジカン」は、植物体の葉の部分だけに含有している。葉の部分を収穫し、乾燥させたものが葉藍である。乾燥させた葉藍に含まれる「インジカン」は、酸化により「インジコ」となる。その後、葉藍は水をかけ発酵(腐らせていく作業)させます。これが染料の「すくも」である。
藍建は、この「すくも」をアルカリ性の水溶液に溶かし、微生物の働きにより「インジコ」を「ロイコ体インジコ」へと還元させ、瓶の中の水溶液に溶け出させる。
溶けているロイコ体のインジコは、繊維に吸着させた後、空気中の酸素と結合(酸化)させることで青色に染色させることができる。
還元 酸化(青色の発色)
「インジコ」― ― ― ― → 「ロイコ体インジコ」― ― ― ― → 「インジコ」
微生物の働き 藍の瓶(かめ)
繊維に吸着 空気中の酸素と結合
C16H10N2O2 ― ― ― ― C16H12N2O2 ― ― ― ― C16H10N2O2